死ぬことでのちのラウンドが勝ちづらくなるFPSのお話

 デスすることによってこの先ラウンドを取りづらくなってしまうFPSタイトル、いわゆるcounter-strikeシリーズのマネーシステムのことが主な話になります。

 

 counter-strikeシリーズはマネーシステムの存在上、キルを相手に取られるといくらかのキルマネーが発生するだけでなく、死んだことによる武器の損失、そして相手に武器が渡るというデメリットが発生します。

 仮にマネーシステムの存在しない一般的なFPSタイトルにおいては、デス数はラウンドさえ勝ち取れるのであればいくらでも増えても問題はありません。

 

 死なないことがプラスの評価点となる動きはどういうものか、そしてチーム全体では指揮官はどういう指示を出せばいいのか。ということを解説していきます。

 

 まず、そのゲームタイトルの1ラウンドごとの制限時間を思い浮かべてください。大体が1:45~2:00という具合だと思います。

 さて、ここで質問です。

 このラウンド時間、長ければ長いほどに守り側が不利になるでしょうか?

 

 正解は、不利になります。

 

 しかし、すべてにおいてそうであるわけではありません。なぜなら、攻め側が絶望的にラウンドを取ることが不可能になった場合、攻め側がセーブといって死なないことを目的とした時間稼ぎをするためです。

 そう、死ぬことでのちのラウンドが取りづらくなってしまうために、セーブをするわけです。

 ということは、守り側が圧倒的優勢の場合、いわゆるセーブ狩りという行為を取ることでしょう。そのため、攻め側が時間稼ぎをラウンド時間が長ければ長いほどにたくさんしなければいけない傾向にあるため、攻め側が不利になってしまう状況が存在するわけです。

 さて、2003年ごろのcounter-strikeは、二つのチームスタイルを持っていました。前記事で書いた指揮官講座からすればレベルはかなり低いため、とても単純なスタイルです。

 それはスロースタイルかアグレッシブスタイルかの違いです。まずスロースタイルというのは出待ち系をよく使い、相手のミスを狙うタイプです。そしてアグレッシブスタイルは自分たちからアクションを起こしていくタイプです。

 当時流行っていた二つのスタイルとは一線を画して、両方を織り交ぜたチームが冬頃に登場します。SKgamingというチームですがまあそれは別のお話で。

 彼らは序盤からガンガン仕掛けるわけではなく、まずは様子見ということで情報収集+速攻系作戦を使った相手を出待ちでカウンターする戦術をはじめました。

 そこから足音などで得た情報や、出待ちカウンターの成功を活かして、彼らはラウンドを取りに行きます。

 これはアグレッシブとスローを織り交ぜた戦術だったわけです。

 2003年の爆破ルールの技術で、すでにラウンド時間をギリギリいっぱい使ってチームで動くという概念が生まれたのです。言われてみれば当たり前ですが、下手に時間を使わなさすぎる(情報取得不足)や、時間を使いすぎてラウンドを取れないなんてことが起きづらいわけですよ。

 中堅レベルのチームでもこれを考えながらやっているチームはあまり日本ではいないかと思います。

 指揮的に見れば、マップごとに使う時間をわけているわけです。

 例えば1:45ルールなら1:20までは情報収集兼最速ムーブアンチ、0:50までに○○と△△のエリアを取っておく、0:30までにセットアップは終了……。

 このようにしておくことで、チームメンバー的には指揮官から直接指示をもらわずとも具体的にどんな動きが必要なのか、チームとしてどういう役割が求められているのかが決まりやすくなるわけです。

 

 話が脱線しましたね、戻してどういう動きが死にづらくなるのか。ということですが、時間をギリギリまで使うことで、セーブにかかる時間が短くなりやすくなるわけです。

 最速でチームメンバーが死ぬことで、1分以上の間セーブを強いられる……だから無理やり不利な勝負を仕掛けて逆転勝ちを狙う。なんてことが一度はチームで味わったことがあると思います。

 それは最初の動きが固定化されておらず、事故の発生する動きを2~3人が同時に取ってしまったがゆえに起きてしまったわけです。

 自分は2003年にゲームをしていたわけでも当時のSKgamingと知り合いだったわけでもないので、もしかしたら意図していたことなのかもわかりませんが、彼らはセーブの時間を短くするためにとった序盤のスロースタイルのおかげで、自動的に事故が発生する可能性を減らすチームムーブを開発してしまったのです。

 これが、最近でよく呼ばれるスタンダードというチームムーブの概念ですね。まあ、これは自分がネットの色んな所に転がってる記事を読んだことなので、本当はラウンド時間をギリギリいっぱい使ってチームで動くという概念は昔からあったことなのかもしれませんが、面白半分に聞いておいてください。

 

 では、今回の話の根幹に戻すわけですが、できうる限り死ぬことを減らすのが勝利に繋がるのであれば、制限時間を意識して事故を減らし、意図した行動だけをすること……これが結果的にセーブ率に繋がり、勝率が上がっていく。ということになります。

 無意識的にやっている方は多いでしょうが、昔はそんなこともなかったんだよ、という締め方で終わろうと思います。