スタンダードと呼ばれるラウンドの意味

 スタンダードの定義は二つあります。

 

 1.のちのラウンドを取るために繋ぎ要素、釣り的要素を持った動きをするために動くラウンド

 2.もしくは応用力の高い配置をすることで、その後ラウンドを取るためのムーブをする総称(情報収集、相手のリソースを削ってから作戦実行...のような動きのこと)

 

 まあ、一般的なチームでは後者の意味だけで捉えられていることでしょうし、前者は以前の記事で書いたので割愛します。

 

 さて、根本的にスダンダードというのは、作戦が存在するからこそ意味をなします。

 昔の5on5対戦FPSにおける指揮……というよりかはチーム的な動きというのは作戦で行動するのが基本でした。自分たちのやりたい作戦、強い作戦をかますっていうのが主題で、その強い作戦を実行するために前提の動きを考えるというものです。

・Aサイドに爆弾を設置したい→だから固まって動く

 

 しかし、現代の――――といっても、すでに10年ぐらい前から生まれている技術ですが、現在ではスタンダードと呼称する動きによって、作戦を選ぶという概念が生まれたわけです。

・Aサイドに爆弾を設置したい→まず情報収集から→A側めっちゃ敵いた!→じゃあBに設置しよう

 というプロセスに変わったわけです。

 

 もちろん、昔の指揮官たちが非効率的にAサイドに爆弾を設置しに行ったわけではありません。

 昔は作戦を実行するためにフェイクや固まって動く。

 今は情報収集をしてから釣りや作戦を実行。

 というように変わったわけです。現在のほうが多種多様な動きができそうですよね。

 あまり優れてはいない指揮官は今だにスタンダードの意味が理解できておらず、昔の思考回路を未だにやっている方々が多いのではないかと思います。

 

 これでは正直運ゲーになってしまいます。速攻系の作戦をされて噛み合わないから負けた。なんていう言い訳は指揮官としてやってはいけないことなんですよ。(チームを作って間もないっていうなら分かりますが)

 どんな動きを相手がやろうと、全てにおいて対処する。それが柔軟性という言葉を含んだ本来のスタンダードの存在意義なわけです。そして、スタンダードが強ければ強いほどに、そのチームはチームとして強いのです。なぜなら奇策が通用しにくいですから。(奇策が通用する配置ならそれスタンダードになってません)

 

 ではスタンダードはどうやれば意味合いと同じく動けるの? っていうのを具体的に書くと、明確な前提条件を作ってしまうことです。

 例えば○○という場所を取る。最低○○人殺さないとB側には攻めない。スモークが2個以下ならA側には攻めずにフェイクBを主体とする。0:45秒までに自分たちのチームは3人以上存在する。

 まあいろいろありますが、先に書いたように、情報収集をしてから釣りや作戦を実行、これをするために必要なことはなにかをチーム全体、ないしは指揮官がマップごとに決めていくわけです。

 こうするとスタンダードの構成が三つに分けられます。

 

 まず序盤の安定した動き兼情報収集です。チームで約束事をいくつか決めていくと、自然と即死してしまうかもしれない賭け的な勝負の量はかならず減っていきます。だって、撃ち合いの確率なんて指揮官からすれば基本50%に定めますからね。

 いくら自分のチームメイトを信用しているとは言え、撃ち合いで勝つの前提の作戦やエリア確保ってチームとしての強さは上がりません。その人が強いから、調子が良いから実行できるムーブであって、それを作戦としてもチームとしては強くならないわけです。

 指揮というのは運要素を減らし、実力勝負をいかにできるかということも問われるわけです。まあ、大会で格上に勝ちたいなら運ゲーしなければいけないんですが……。

 

 次に、味方も敵も、何人かが死ぬことを考慮したエリアの確保に移ります。なぜならその確保したエリアを使用した作戦をするためですね。ここでそのエリアの確保の仕方でチーム内でお話することが必要になります。

 クリアリングの仕方、人数による動きの変え方とかですね。

 

 そして、確保したエリアの量と時間から鑑みて、指揮官がAかBどちらに攻めるかを司令したりするわけです。

 

 

 スタンダードの意味って当たり前の話ばかりなんですが、結局みんなできてないんですよね。だって、みんな他人がなにをしているのか分かっていないから。

 

 ラウンド始まって30秒以内に3人死ぬなんてことはあってはいけないわけですよ。それは撃ち合い勝負を相手に無理やり申し込まれない限りは、自分たちが撃ち合い勝負をそれだけ仕掛けたことになるわけです。

 

 その撃ち合い勝負の目的……おそらくエリアの確保のためでしょう。しかし、それは始める前にちゃんと意図していましたか? チーム内でそれをしたいと思っていたでしょうか。そこに、自分の中と味方の間でズレが生じると、いわゆるカバーできなかったラウンドが発生します。

 

 結局、チーム内でバラバラに動いてバラバラに情報収集をして、集まって行動を起こす。それがスタンダードの流れになるわけですが、そのバラバラの情報収集の時にAIM勝負をしてしまうようなプレイをしないようにしなければならないわけです。

 

 今一度、自分がどういう役割をチームで求められているのか想像しながらゲームをしましょう。決して撃ち合いというなの運ゲーをしないように……。

 それは仮に勝てたとしても、チームとしての強さは1ミリたりとも上がりません。目先の勝利に囚われることで、絶対的強さを成長させないことのないようにしたいですね。